コンテンツ配信を支援するCDN

動画などの大容量コンテンツを効率的に配信するのがCDN(コンテンツ配信ネットワーク)です。ユーザーは,CDN事業者やインターネット接続事業者などに委託することで,自前のインフラを用意しなくても,品質を落とさずにユーザーにコンテンツを配信できます。

 インターネットで提供するコンテンツの種類は,テキストから画像.音楽など多岐に渡ります。最近は,ADSLやCATVインターネットなど高速インターネット接続サービスの普及により一般の家庭でも動画や音楽などの大容量データの受信が可能になっています。
 ただし実際に大容量のコンテンツを流す場合には,いくつかの問題があります。一つは,帯城の問題です。これまで小容量のデータを提供していた企業が大容量データを流そうとすると,インターネットまでのアクセス回線の帯域が不足してボトルネックになる可能性がが出てきます。
 もう一つは,設備能力の問題。ユーザーからのアクセス数の増加に合わせて,コンテンツを配信するためのサーバーやルーターなどのネットワーク機器を増強しなければなりません。これらの設備増強を実施する場合,相応のコストが必要となります

ネット内でのデータ品質の劣化を防ぐ
 さらに,インターネット内でのコンテンツの品質劣化という課題もあります。インターネット内のトラフィックが混雑すると,配信中のデーター・パケットの遅延や損失が発生し,ユーザーに安定してコンテンツを配信できなくなる恐れがあります。特にデータをダウンロードしながら再生するストリーム・データの配信などでは,ノイズが入ったり,画面が途切れたりする場合があります。
 大容量コンテンツを安定した品質で配信するためには,パケットがネットワークの途中で遅延したり損失してはいけません。複数の地点にサーバーを設置したり,独自のネットワークを使って配信する仕組みが不可欠です。
 これらを実現するのがCDNです。CDNは,コンテンツを配信するための専用のサーバーや,独自の中継網を用意。大容量コンテンツをユーザーに安定して届けられるようにします(図1)。専門の事業者のほか,インターネット接続事業者(プロバイダ)などが提供します。

CDNサービスのメリット
図1 CDNサービスのメリット

 ユーザー企業は,コンテンツ・データをCDN事業者に委託するだけで多数のユーザーに対して,品質を落とすことなく提供できます。さらに,コンテンツを利用するユーザーごとに課金するシステムなどを用意するCDN事業者もあります。

サーバー配置と網構成の違いに注意
 現在CDNの実現形態は複数ありますが,大きく二つのポイントがあります。.機璽弌爾稜枌屐き中継網の種類です。
 ,魯機璽弌爾鯤散配置するか,集中配置するかで異なります。サーバーを分散させる場合,ユーザーにより近い位置にサーバーを設置できます。具体的には,主要なプロバイダにキャッシュ・サーバーミラー・サーバーをハウジングします。それぞれのプロバイダ網からアクセスするユーザーには,プロバイダ網内のキャッシュ・サーバーがデータを送信することで,CDN事業者のサーバー側のアクセス集中による混雑を回避できます。ユーザー側も,コンテンツの高速なダウンロードが可能になります(図2)。

CDN事業者によってサーバーの配置と網構成は異なる
図2 CDN事業者によってサーバーの配置と網構成は異なる

 ただし,この方法はキャッシュ・サーバーの設置場所がポイントとなります。プロバイダ網のどこにキャッシュ・サーバーを配置するかによって,効果が変わってくるからです。
 一方で,サーバーの配置を1ヵ所に集中させれば,サーバーの利用効率が高まり,管理も容易になります。そのため,CDN事業者には,サーバー配置のノウハウが不可欠です。
 △任脇伴網を利用する場合とインターネットを利用する場合があります。CDNでの利用に特化した独自網を利用すれば,品質を保ったままユーザーまでコンテンツを配送できます。さらに,独自網の主要拠点にキャッシュ・サーバーなどを配置して,オリジナルのサーバーヘかかる負荷や,ネットワークにかかる負荷を軽減できます。
 ユーザー側でも,コンテンツをダウンロードするときに,インターネットを経由せずに,キャッシュ・サーバーと通信するため,高速化が可能です。ただし,コンテンツを提供できるのは,独自絹の展開エリア内に限られます。
 一方で,インターネットを利用すれば,より多くのユーザーにサービスを展開できます。

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